事例研究・搬送訓練

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救急セット(個人用)

<技術アップシリーズ> 救急セット(個人用)

 ファースト・エイド・キット(携帯用救急セット)は重要な個人装備です。市販のキットもありますが薬事法の規制があり、薬品類は入っていないのが実情なので、自分で考えて軽量かつコンパクトに纏め、ザックの雨蓋に常時入れておきましょう。
以下、一例として私のセットを書き記します。

・ロキソニン 2錠 市販の鎮痛消炎剤で、怪我した場合の疼痛緩和などにもかなり効果がある。早く効果を出したい場合は噛み砕いて飲む。但し、高山病の症状に服用は危険。
・デパス 2錠 睡眠導入剤。前夜発で車を運転後、一時間でも多く仮眠をとりたいが
神経が高ぶっていて直ぐに眠れない時などに服用。睡眠不足ではしっかり歩けない。
・パブロンゴールド 顆粒2袋 ・胃腸薬 顆粒2袋 ・バンドエイド 大小各2枚
・テーピングテープ 捻挫などの怪我の養生、ズボンが破れた時、靴底が剥がれかけた時、テントに穴が空いた時等にも使用可能。嵩張らないように1m程度を巻いておく。
・ペットボトルのキャップ(小さな穴をあけたもの)飲用を兼ねた水を500cc持っておき、擦傷や開放骨折時に穴あきキャップに付け替えて水をかけて滅菌する。滅菌は重要!
・健康保険証のコピー ・労山カード 山小屋等で提示すれば割引される場合有り。
・遭難対策カード 住所、連絡先、生年月日、血液型他を記載。雛形があります。
・細引 2mmの紐1m ・ホイッスル 緊急時に使用 ・小型ペンライト 百均で購入
・百円ライター 電子式のものは高山では着火しにくいので発火石式のものを。
・ヴィクトリノックス 小型 多用途折り畳みナイフ。何かと便利。 ・子供用歯ブラシ
・車の合い鍵 予備 ・名前を書いた荷札 2枚 小屋泊時に靴に付けておく
・耳栓 テン泊小屋泊に関係なく就寝時のイビキ対策に必ず使用。寝不足では歩けない。
・予備ヘッドライト ペツルのeライト コンパクトで重量僅か27gの優れもの。
・デジカメの予備電池

羅列になってしまいましたが、私の場合は、薬剤やテープ類は小さなジップロックに入れ、上記のものもコンパクトに纏めて、防水も兼ねて中型厚手のジップロックに収めています。優先順位を考えて取り出し易くして、日帰り連泊関係なく常時、ザックの雨蓋に入れています。ちなみに全体の重量は200g程度です。家庭用の救急箱と違い、携帯性を考える必要があるので状況を想定して必要なものをアレンジして準備しておきましょう。このような工夫も、また愉しいものです。参考にして、再考いただければ幸いです。(F)





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レイヤリング

<技術アップ>  レイヤリング(重ね着する)

 登山では、季節、標高などによって気温と天候に大きな差が生じます。衣服を上手くレイヤリング(重ね着)して、どのような状況下でも快適な体調を維持出来るように考えておきましょう。山岳ウェアのメーカーでは、以前から3レイヤー(ベース、ミドル、アウター)を提唱してきましたが、最近では5レイヤー(ドライレイヤー、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、ミッドシェル、アアウターシェル)を唱えるメーカーも現れてきました。

<レイヤリングで最も重要なドライレイヤー>
肌に直接触れる1枚目のレイヤーは、かいた汗を透過させ、かつ、撥水性能もあるものなら、汗は肌まで戻りにくくなり、皮膚をドライな状態に保つことができます。重ね着では、肌に触れる1枚目の性能が重要です。肌が濡れたまま風に当たると、汗冷えが起こり、寒気を感じて低体温証の原因となります。肌が濡れると、ヒトは不快感と寒さをおぼえます。実際、水の熱伝導率は空気の約25倍とされ、寒さの影響を受けやすくなるのです。熱を奪われる=体力消耗であり、肌が濡れることは、山では危険のサインなのです。いざという局面で本当に必要なのは、濡れや冷えを抑え、無駄な体力消耗を防ぐ機能を持ったドライレイヤー。個人的には、ファイントラックのドライレイヤー(フラッドラッシュスキンメッシュなど)がお薦めです。

 そして、その上に着用した2枚目のベースレイヤーで吸汗拡散させます。そのためには、2枚目の衣服はある程度タイトなものを選ぶべきで、ゆとりのある大きめのサイズを身につけてたりすると、効率よく吸汗できません。

 中間着(ミッドレイヤー)は、これまで軽くて保温性に優れたフリースが用いられてきましたが、より軽くて吸汗蒸散性と保温性に優れた、行動によって汗が多く発生する時でも不快感や冷えから身体を守るような素材の中間着がお薦めです。

 中間着の上に着るシェルですが、多少の雨や雪なら雨具なしでもそのまま行動できる耐水性と高い透湿性能、効果的な換気を行うシステム(ベンチレーション機能)を備えた、ムレにくく、温度の調整が容易なウェアも発売されています。

 そしてアウターは、レインウェアーを兼用している人が多いようですが、予算が許せば、山での厳しい環境から身を守る防水・透湿・防風雪機能と、ハードシェルと言えどもストレッチ機能を持った高機能なものを選択しましょう。フードの大きさも大切な要素です。

<レイヤリングで重要なこと>
「汗を肌から遠ざける」「効率的な換気」「効果的な保温」「しっかりと雨や雪を防ぐ」
(F)



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ストック考

<技術アップ>  ストック考

 ストック(トレッキングポール)に関しては、ネット上にその基本的な使用法や動画も掲載されていますので「登山 ストック 使い方」などで検索して、そちらを参考にしていただくとして、今回は、普段の例会で気付いた点を記してみました。

・面倒がらずに状況に応じて長さの調節を。
平地では、肘を約90度曲げてストックの先が地面に付く長さが基本ですが、登りでは短く、下りでは長めに、斜度に応じて調整しましょう。疲労が軽減されます。
また、平地や登りで、ストックの先端を後方に向けたままにして持ち歩いたり、後方に跳ね上げて使うことは絶対にやめましょう。後続の人に甚だ迷惑・危険です。

・トラバース道での使い方。
トラバース道では、山側のストックの長さを短くしましょう。長いまま使うとストックが山側の斜面に突っかかってバランスを崩し、滑落の原因になります。急傾斜のトラバース道では、ストックを2本まとめて両手で持って、山側の斜面に2本の先端を突いて歩く方法も有効です。その際、怯えて山側に身体を傾けると、足元が谷側にずり落ちてしまうので、鉛直方向に身体の重心を保つように注意しましょう。

・先端のゴムキャップ。
雪上やザレ場以外ではゴムキャップを付けて歩きましょう。以前、北海道の山(日高山脈アポイ岳、国定公園特別保護地区)に登った際、登山口の掲示板に「ストックは花や登山道をいためます!ストックの使用は控えて下さい。どうしても使用される場合は先端のゴムキャップをつけて下さい。」という内容の張紙がありました。たしかに、ストックの先端で、路傍の植物や木の根、木道、木造の階段などには少なからず傷を付けているのでしょう。人気のある山の登山道脇の岩や石にも、ストックの金属の先端で引っ掻いた傷跡がたくさん見受けられます。たかが路傍の岩や石ではないか、と思う方もおられるかもわかりませんが、私は心が痛みます。
木、岩、石に対しては金属よりもゴムのほうが摩擦係数が高いのも事実です。歩いているうちに無くしてしまうという理由で、ゴムキャップを付けない人も多いようですが、外れないような工夫をしたり、キャップの予備を準備しておきましょう。

・ストックが原因の事故に注意
疲れてくると、下りではストックに頼るようになり、ストックに体重をかけすぎてストックの先端が滑って、転倒事故を起こす場合があります。また、岩場でのストックの空振りや、先端の滑りも、転倒骨折や滑落事故の原因となっています。
岩場の登下降では、状況にもよりますが、ストックをしまって、岩を手で直接掴んだ方が安全です。

中高年の登山者にとって、膝痛や腰痛の対策としてもストックの使用は有効だと思いますが、慎重に使わないと事故の原因になりかねませんので、ご注意下さい。
(F)







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GPSを使ってみよう

 会の装備にガーミン社のGPSがあります。操作は簡単ですので、是非一度、例会参加時に使用して体験してみて下さい。登山口に着いたら電源を入れるだけです。画面の地図には登山道の点線が表示され、自分の歩いた軌跡も自動的に現れてきます。濃霧や吹雪などで視界が無くなった時には便利です。標高も表示することができます。お気軽に、参加される例会のリーダーに申し出て下さい。(F)

(クリックで拡大)
 
1、電源キーを1〜2秒間押し続けて電源を入れる。
自動的に上空のGPS衛星を捕捉し、現在地が測位されて地図が表示さます。
(衛星の捕捉に少し時間がかかるので、出発地に到着したら直ぐに電源ON。)

2、歩き出すと画面上の地図に軌跡(トラック)が点と線で表示されます。
(イン/アウトキーを使って、画面を見やすいように調整をします。)
(深い木立の中や谷筋では上空視通が悪くなり、データが乱れる場合があります。)
(歩きながらGPSの画面を見るのは、転倒の原因になるので止めましょう。)

3、山行終了時に電源をオフにします。電源オフは、電源ボタンを長押し。電源を切っても歩いた軌跡や時間・標高データはGPS本体内に保存されています。
(使用後は電池を外しておくこと。)





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山行計画(泊山行)

<技術アップ> 山行計画(泊山行)

 山行計画の立案は愉しいものです。今回は一例として、私の検討方法を紹介します。
山と渓谷」「岳人」などの雑誌や、ネットを見ていると「山」に対する想いが募り、「登りたい山」を闊歩している自分の姿や素晴らしい展望を空想して胸が熱くなってきます。(私だけか・・)
「山」と「日程」を決めれば、まず、ネットで記録を検索してみます。「山名」と「月」で検索します。(例、槍ヶ岳 8月・・・必ず「月」を入力)最近は、記録や写真を載せるブログが増えたので、多くの情報を得ることができます。
 次ぎに地図を準備します。コースタイムの載っている「山と高原地図」が便利ですが、細部の地形も載っている1/25000地図と両方準備する方が良いでしょう。地図を見てコースタイムなどの検討、予測をします。(歩行時間、標高差、テント泊か小屋泊か、装備、食料、水・・・午後3時までには泊地に到着するように。)
 そして、自宅から登山口までの距離と所要時間(車)を ルート検索MapFanWeb で調べます。高速料金や登山口の駐車場所、林道を通る場合は通行不可になっていないか、山小屋や幕営地の状況、等をネットで調べて確認しておきます。山行初日、宿泊地までの歩行距離が長い場合は、前夜発で、高速道路のサービスエリア、登山口の駐車場、登山口近くの 道の駅 などで仮眠をとります。全国各地の 道の駅 は、駐車料金無料・自販機・トイレ完備で大変便利ですが、シーズン中の登山口近くの 道の駅 は夜中に満車になって、ゴミ箱からゴミが溢れて散乱している所もあります。ゴミは持ち帰るなど常識的な使用を心懸けないと深夜の使用が規制されてしまう可能性もあるので気を付けましょう。サービスエリアのゴミ箱に山行中のゴミを捨てるのも控えましょう。
 自宅からの出発時間と帰宅時間が決まれば山行計画書を作成しましょう。遭難した時の事を考えて、コースやタイムは詳細に記載し、登山口には登山届を投函するポストが設置してある所が多いので、計画書は余分に用意して必ず投函しておきましょう。また、会長、リーダー部長、遭難対策担当副部長に、メールの添付で計画書を必ず送付しておきます。会員以外の方と同行する個人山行も必ず計画書を送付して下さい。計画書の事前送付がないと、万一の場合、保険不適用となります。
 山行日が近づいたら、装備や食料を準備し、一週間前から週間天気予報 登山天気-日本気象協会tenki.jpGPV気象予報気象庁の天気図 をチェックしましょう。悪天予報の場合は、無理な山行実施は控えましょう。私の場合は「展望」が山行の重要な目的の一つなので降水確率50%以上で天候回復が望めないようなら山行の中止を考えます。蛇足ですが、山では早寝早起(夜明け前)をして、落日、月の出、星空、御来光、朝焼け、雲海・・・素晴らしい絶景を愉しみましょう!(展望男 F)

 県内日帰り他、近傍の山行記録は 山聲(やまびこ) がお薦めです。




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地図とコンパスの使い方

<技術アップ> 地図とコンパスの使い方

 地図の北(上=真北)と磁石の北(磁北)は違うので、あらかじめ地図に磁北線を鉛筆で書いておきます。北ア付近では約7度西へ傾いています。(地図で20cm上→左へ24mm、現地では1km進むと誤差120m!)磁北線を平行に1km間隔で記しておくと距離感もつかめて解りやすいと思います。(1/25000なら4cm間隔)
以下、山中で自分のいる現在地が解っている場合と、解らない場合の、地図とコンパスの使用方法を記しておきます。

自分の居る現在地が解っていて、目標の山を探す場合
,泙挫録涵紊如現在地から知りたい目標の山を結ぶ直線と平行になるようにコンパスを置きます。
⊆,縫灰鵐僖垢硫鹽哨螢鵐阿魏鵑掘¬隶があらかじめ地図に記入しておいた磁北線と平行になるようにします。
コンパスを体の正面に構え、コンパスの針(赤く塗られたN極)と矢印が重なるまで体を回転させます。これでコンパスのトラベルライン(コンパス本体にある矢印)の延長上に目標の山が見えます。



理解しやすいように、目標の山を探す場合を例に挙げていますが、踏跡の無い場所でホワイトアウト(雪や濃霧で視通が無くなってしまう事)した時に、自分の進行方向を把握できる有効な方法です。

地図とコンパスの基本的な使用方法なので、何度も復習して身につけておきましょう。


自分の居る場所が解らなくなって、現在地を把握したい場合
現在地から確認できる2箇所以上の山のピークなどの目標を使います。(クロスベアリング法)
 ,泙此∈能蕕量槁犬縫灰鵐僖垢鮓け、コンパスの針と回転リングの矢印が重なるようにリングを回します。
⊆,肪録涵紊量槁乎賄世縫灰鵐僖綱楝里粒(トラベルラインのある上辺の角)を合わせ、回転リングの矢印と地図の磁北線が平行になるまで、コンパス本体を回転させます。平行になったら、目標地点からコンパスの側辺そって直線を引きます。この延長線上のどこかが自分の現在地になります。
次の目標も同様な操作を行い、引いた線が交差した地点が自分の現在地と推測できます。これを繰り返すことでより正確さが増します



地図とコンパスの使い方は、実際に山の中で自分で試して体感し、何度も復習をしておかないと身に付かないと思います。頑張ってマスターしましょう! 

<予告>
技術アップ担当企画として、梅雨明けの時期に、最近入会された方で北アルプス未経験者を対象に(勿論、経験者の参加も歓迎します)下記内容の山行を実施します。
・北ア蝶ヶ岳〜常念岳 ・山行日 7月28日(土)早朝発〜29日(日)夜帰宅
・交通機関 車分乗 (小屋泊テント泊選択可能)
蝶ヶ岳、常念岳から望む 槍〜穂高の連嶺、落日、月の出、星空、御来光、朝焼、雲海など、素晴らしい絶景を愉しみましょう。 担当 F

山と高原地図 33. 日本アルプス総図
北ア全域・中央・南アルプス・八ヶ岳

価格 ¥945 通常配送無料(amazon)
昭文社出版編集部 (編集)




(昭文社のサイトから引用)




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地図の準備

<技術アップ> 地図の準備

 山行には地図とコンパスは必携です。自分で地図を準備して山行の予習をしたり、地図を見ながら行程を想像するのも愉しいものです。勿論、山行中に地形を見ながら「地図読み」する技術も習得しておくべきでしょう。
 地図については「山と高原地図」(昭文社)を購入して山行に持参される方も多いようですが、今回は、2万5千分1地図をネットで取得する方法をご紹介します。国土地理院のサイトでは、全国の地形図を閲覧するサービス「2万5千分1地図情報(旧ウォッちず)」が提供されていますが、印刷機能はありません。そこで、フリーソフト(無料)の「カシミール3D スタータキット」をPCにインストールして操作すれば、上記の全国の2万5千分1地形図をシームレスに途切れずに閲覧することができます。多機能なソフトで、3D表示、山座同定図の作成、磁北線の表示、地図の印刷機能もあります。


「カシミール3D スタータキット」
http://www.kashmir3d.com/
または「カシミール」で検索。
(注)上記サイトの内容を良く読んでから
「スタータキット」をインストールして下さい。
(Windows XP / 7 対応)

 また、会装備として購入したGPS附属の地図(DVD)を会員各位のPCにインストールすることも可能です。このガーミンの日本地図には標高データが含まれています。GPSを使用しなくても、自分でPCの画面上にトレース(歩行線)を引き、水平・垂直のグラフを作成して山行の復習や予習をすることも出来ます。データをグラフ化して、自分の歩いた(歩く予定の)距離や標高差を把握する事は、山行の検討材料として非常に有益です。以前、GPSの操作習得のために、ガーミンの地図のインストール方法を記載した「簡単操作マニュアル」を作成しています。興味のある方はFまでメールで連絡を下さい。説明書(Word)を送付させて頂きます。(F)


比良全山縦走のグラフ(栗原〜北小松、標高差1000m 水平距離22km)



 

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